おめがの戯れ言

医大生の日常を綴ります。お手柔らかに。

医師国家試験に上位10%で合格したので勉強について語ろうと思う

Part0. Introduction 

お久しぶりです。おめがです。

 

先日行われた113回医師国家試験に合格しておりました。支えてくださったすべての方々に感謝しております。

 

予備校の採点サービスを利用した結果、7000人中400位程度と自分でも驚くほどの結果を得ることができました。

この得点が大した点数ではないことは理解しておりますし、高得点で合格することに意味がある試験でないことは理解しております。しかし、受験エリートが集結する医師国家試験という舞台で、凡人である自分がここまでのパフォーマンスを如何にして発揮することができたのでしょうか。それは周囲のできる人間や効率の良い勉強法を探し求め、プライドを捨てて自分のやり方を変化させてきたからに他なりません。

(医師国家試験の得点や順位をほのめかすことに不快感を持たれた方がおられましたら、申し訳御座いません。これから書く文章に少しでも説得力を持たすため、そして多くの人の目にこの文章が触れるキャッチーな題名をつけるために必要だと考えております。ご容赦ください。)

 

小学4年生で中学受験向けの塾に通い始めてから今に至るまで、数多の試験を受け、その大半に勝利してきました。学生生活の締めくくりとして、全ての後輩学生に向けて、そして我が子の教育に悩む親御さんに向けて、勉強との向き合い方について書こうと思います。小学生から医学生に至るまで、全ての学生の勉強効率の向上に、ほんの少しでも寄与できれば嬉しいです。

 

これまで家庭教師や友人との勉強会を通じて、学校の勉強についていけなくなった小学生から、模試で上位1%の医学生まで、たくさんの人の勉強する姿を見てきました。

当たり前のことですが、できる人には共通点があり、できない人にもまた共通点があります。

 

「勉強しろ」と大人は言いますが、悲しいことに勉強のやり方を教えてくれる大人はほとんどいません。その量に個人差はあれど、貴重な若い人生の中の少なくない時間を勉強に捧げる人が多いと思います。ならばその効率を少しでも向上させるための工夫をするべきだと、僕は考えます。このブログを読む数分間が皆様の人生に少しでも良い影響を与えることを祈っております。

 

Part1.勉強する意味ってなんだろう

「なんで勉強しなきゃいけないの?」無邪気な小学生による、この浅いようで深い問いかけへの答えに窮した経験のある大人は多いと思います。狂おしいほどに辛くて楽しくない勉強は、しっかりとした意味づけをしてモチベーションが保たれなければストイックに継続することはできません。

 

愚か者や怠け者は差別と不公平に苦しみ、賢い者や努力した者は色々な特権を得て、豊かな人生を送ることができる。

それが社会というものです。

あなた達は、この世で人のうらやむ幸せな暮らしをできる人間が何人いるか知ってる?

たったの6%よ。この国では、100人のうち6人しか幸せになれないの。残りの94%は、毎日毎日不満を言いながら暮らすしかないんです。

いい加減目覚めなさい

日本という国は、そういう特権階級の人たちが楽しくしあわせに暮らせるように、あなた達凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです。

そういう特権階級の人達が、あなた達に何を望んでいるか知っている?

今のままずーっと愚かでいてくれれば良いの。世の中の仕組みや、不公平なんかに気付かず、テレビや漫画でもぼーっと見て何も考えず、会社に入ったら、上司の言うことを大人しく聞いて、戦争が始まったら真っ先に危険な所に行って戦ってくれば良いの。」

 

これは2005年放送のテレビドラマ『女王の教室』のあるシーンなのですが、当時小学生だった僕は、これを見て漠然とした危機感を覚え、中学受験勉強にのめり込みました。

 

たしかに建前を抜きにして言えば「日本は未だ学歴社会だから勉強していい中学に入って、いい高校に進んで、いい大学に入って、いい企業に就職するためには今から勉強しなきゃいけないんだよ」という回答を心の中で用意してる人は多いと思いますし、そう心を納得させて勉強に励んできた人も多いのではないでしょうか。

事実、勉強をして高い学歴を得ることは「お金を稼ぐ」という点においてプラスに働くことは紛れもない事実です。そしてある程度のお金は不幸から身を守ってくれるものとして必要だと僕も考えています。

 

しかしながら「いい大学に入っていい企業に入るのが幸せなの?高い時給を得てたくさん稼ぐことが幸せなの?」と小学生に問われた時、僕には首を縦に振る自信がありません。

 

お金と幸せが相関するとは僕は思いません。幸せを得る手段はお金を得ること以外にもたくさんあるでしょう。

だったら勉強せずに他のことに時間を費やした方が人間として豊かになれそうじゃないですか?友達と遊んで、部活動をして、女の子とデートして、映画を見て、小説を読んで。勉強にかけている莫大な時間を他のことに当てられれば、得られることの大きさは計り知れません。

 

それでも僕たちは青春の貴重な時間を費やして、辛く孤独に机に向かうべきです。そのモチベーションはどこにおけばいいのでしょうか。

 

その答えは人生の可能性を常に広げることだと僕は考えています。

 

人生において、「自分のやりたいことをやって生活を送っていく」ということに勝ることはないです。少なくとも現時点で僕はそう考えています。

 

そして学生のうちに勉強しておくことは人生の大事な選択の場面においてあなたに多くの選択肢を提供してくれます。

 

自分が何になりたいのかわからない学生の方々、多いと思います。何を隠そう僕もそうでした。人生の転機はいつ訪れるかわかりません。最愛の人が病に倒れ、急に医師を志すかもしれません。だから学ぶことをやめないでください。

 

夢が決まっている人、例えば野球選手になりたい高校生はどうでしょう。どんなにあなたが才能に溢れる選手でも、挫折はいつ訪れるかわかりません。怪我をして急に目の前が真っ暗になるかもしれません。だから学ぶことをやめないでください。

 

ここまで綺麗事をたくさん並べました。

実際問題、学校で学んだことの大半は大人になると使わない知識です。微分積分を日常的に使いながら生活している人がこの日本の人口の何%いるんでしょうか。勉強は、学歴や資格や職業にアクセスするための手段でしかないのでしょうか。そんなことは絶対にありません。

 

太宰治の『正義と微笑』の中で、先生が最後に生徒たちに語りかける言葉があります。

 

「もう君たちとは逢えねえかも知れないけど、お互いに、これから、うんと勉強しよう。
勉強というものは、いいものだ。
代数や幾何の勉強が、学校を卒業してしまえば、
もう何の役にも立たないものだと思っている人もあるようだが、大間違いだ。
植物でも、動物でも、物理でも化学でも、時間のゆるす限り勉強して置かなければならん。

日常の生活に直接役に立たないような勉強こそ、将来、君たちの人格を完成させるのだ。
何も自分の知識を誇る必要はない。勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。
覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるということなんだ。

カルチュアというのは、公式や単語をたくさん暗記している事でなくて、
心を広く持つという事なんだ。
つまり、愛するという事を知る事だ。

学生時代に不勉強だった人は、社会に出てからも、かならずむごいエゴイストだ。
学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。
けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。

これだ。これが貴いのだ。勉強しなければいかん。
そうして、その学問を、生活に無理に直接に役立てようとあせってはいかん。
ゆったりと、真にカルチベートされた人間になれ!」

 

勉強とは心を耕す行為です。そして教養とは耕された土地です。耕された土地に種を蒔くことでどんな未来でも育つのです。

 

Part2.勉強を構成する要素

 

教養が何だ、人生の可能性が何だと偉そうなことを述べてきましたが結局のところ勉強の客観的評価尺度は試験の点数でしかありません。

 

自分が目標とする試験で1点でも多く取り、1%でも合格する可能性をあげる、そのために死に物狂いで時間あたりの効率を上げにいくのが勉強だと自分を納得させましょう。勉強なんて誰もやりたくないのですから。教養なんて後からついてきます。

 

この世の中に存在する大半の試験は過去問の周辺知識と思考内容の焼き増しでしかありません。この認識がすごい大事です。

 

あなたが応用力、思考力、試験中のひらめきだと勘違いしているものは過去問のどこかにでてきた知識と思考回路の組み合わせでしかありません。

完全に新しい思考回路、知識がその試験の合否を分けることはありません。なぜなら誰もできないからです。仮に一部の天才のひらめきを要する内容が一定数出題される試験であっても、ミスを最小限にして取れるところをかき集めれば戦えるように試験はできています。

 

過去問およびその副産物を徹底的にやり込むこと。それがすべての試験合格への圧倒的近道です。過去問から逸脱した内容の勉強は独りよがりな自慰行為でしかありません。暇な人は趣味としてやってください。この認識を強く持ってください。大半の凡人は過去問の周辺知識すら完璧にならないのだから。

(この論理が外れるくらいの難易度のテストに挑んでおられる尊敬すべきごく少数の方々はこのブログを読んでもおそらく何も得ることはないので、このブログをお閉じください。)

 

だからといっていきなり過去問を解き始めるのが1番効率のいい勉強と言えるでしょうか。そんなことはもちろんないですよね。じゃあ勉強を構成する要素ってなんでしょう。

 

勉強はinputとoutputとrecallの3つの組み合わせです。このバランス感覚を常に持っていることが大事です。これを認識できていない人、そして大事だとわかっていながらも実践できてない人がいわゆる勉強の苦手な人には多いです。

 

まず僕が見てきた1番勉強ができない人たちはinputしかしません。教科書を読んで、蛍光ペンを引いて、読んだ気になる。ビデオ講義を聞いて覚えた気になる。例題とその解説だけ眺めて解けたような気になる。たくさんのきれいな色のペンを使って、教科書を見ながら自作のノートという芸術作品作りに没頭する。

試験ではなぜか点数が取れない。わかったつもりでいるのに解けない。覚えたつもりでいるのに思い出せない。残るのは色とりどりの蛍光ペンで使い込まれた風のテキストと、思い出の残ったノートだけです。分かると解けるの狭間に落ちていき、そのまま試験にも落ちていきます。

 

普通に勉強ができる人たちはinput主体型の彼らの勉強法の問題点を理解しています。なぜならそれは野球をしたことのない野球ファンが急にバッターボックスに立たされているような状況だから。

 

多くの人は問題演習をするでしょう。各予備校や各参考書が作る過去問ベースの問題をこなし、そして自分の弱手を分析し、解けなかった問題をかき集め、反復します。

 

飲みこみの早い、才能に恵まれた人たちはすぐに解けるようになりますし、飲み込みの遅いちょっと残念な人たちはいつまでたっても解けるようになりません。
「何だ、勉強って結局才能の有無に依存するクソゲーじゃないか。」誰もがそう思った経験、あると思います。

僕も遺伝子の暴力に何度も何度も叩きのめされ、努力が否定され、投げ出したくなる経験はたくさんしてきました。自分の1/5の時間で自分より高い点を飄々とだしてくる周囲の天才たちを見て、住む世界を間違えたと自分の選択を呪いました。

 

学生生活最後の半年間で僕はやっと気づきました。勉強の本質はinput≒新規概念の獲得でも、output≒問題演習でもありません。その本質はrecall≒思い出しです。

 

(reviewではなく自発的に記憶を呼び戻すっていうニュアンスを伝えたいので使い方があってるかあやしいですがあえてここではrecallという単語にしておきます。)

 

「復習は大事だから毎日少しでもやろう。」塾講師や教師から何度も何度も同じようなことを言われてきたと思います。
しかし、これは間違っています。正しくはこうです。「勉強とは復習が全てだ。復習以外の学習は復習を効率化するためのものにすぎない。」

 

触れてない新しい分野に触れると前に進んでいる様な錯覚に陥ります。知的好奇心は満たされ、みんなが知らないことを知っている自分にナルシズムは刺激され、根拠のない自信から試験の合格に近づいた気がします。

あるいは、自分が知らない膨大な範囲への恐怖心から前に進み続けなければならないと考える人もいるでしょう。教科書のページが進み、ビデオ講座の消化%が上がれば、何かを習得したような安心感に包み込まれます。

 

凡人の記憶はびっくりするぐらい儚いです。範囲が膨大になればなるほど、脳に詰め込んだ知識や思考回路が増えれば増えるほど、人は驚くほどのスピードで忘れていきます。


復習は自分の弱さと向き合う行為です。こんな簡単なことも忘れた自分、やってもやっても完成度の上がらない自分と向き合う行為です。そんなものが好きな人がいるわけありません。しかしできる人たちは無意識にこの辛いはずの時間に勉強時間の多くを割いています。

 

何度も何度も教科書に書いてあったことをrecallしてください。解けなかった問題は思考に必要な要素だけ抽出しておいて解説の思考回路を何度も何度もrecallしてください。筋トレのように何度も何度も負荷をかけてください。それは確実にあなたの力になります。

 

試験直前の時期になると何度も何度も触れたことのある知識や思考回路はびっくりするくらいのスピードで回せるようになります。これこそ試験に向けた勉強の本質です。復習でスピーディーに回せる範囲をどんどん広げていって忘却曲線に打ち勝ちましょう。そうなれば勝利はすぐ近くにあるはずです。復習で遺伝子の壁を乗り越えましょう。

 

Part3.医学生が辿り着いた最強の暗記法

医学生が辿り着いた最強の暗記法とかいうと魔法のような方法が出てくるのかと期待されている方も多いかと思います。残念ながらそんなものはこの世に存在しません。

 

暗記は地味な作業です。暗記忘却暗記忘却暗記忘却というループを辿る中で定着する領域を少しずつ広げていく作業です。

 

これから5つのポイントを書いていこうと思います。当たり前のこともたくさん書きますが、どれも大事なことばかりなので最後までお付き合いいただければ幸いです。

 

①脳の中に道具箱を作る

まずは正攻法から述べていきます。何事もまずは全体像を把握することは大事です。仮にどんなに試験範囲が膨大であっても最初にするべきは高速で試験範囲を1周することです。どんなに試験までの時間に余裕があると思っても、全範囲を薄く速く目を通しましょう。ここでは論理的に思考回路を追うことができる限界のスピードで、なるべく止まらずにスピード重視で回します。何も覚えなくていいです。

 

するとどうでしょう。脳の中には教科書やビデオ講座の章立てが認識され、所謂「頭の中の道具箱ができたことになります。」そこからの学習はその道具箱の中身を丁寧に丁寧に増やしていくことです。

 

この頭の中の道具箱を作らない状況で暗記を始めると、物の見つからないとっちらかった男子大学生の一人暮らしの部屋のような状況になります。そんな状況で情報を脳につめこんでも試験で取り出せるはずがありません。

 

②優先度で階層化する

試験範囲を高速で1周回すことで脳の中に道具箱が出来上がりました。次にするべきなのは過去問の分析による情報の階層化です。要するに「試験に出やすいところを積極的に覚えようよ」という話です。脳に情報をしまう時は試験に出やすい情報を上の方にしまいましょう。

 

極論どんなに重要事項に思えても試験で一切問われないならその事項は覚えるに値しません。なぜなら次の試験が来る頃には人間はほとんど忘れてしまうから。「でもそんな目の前の試験ばかり見ていると本当の実力がつかないから」とかぬかしてる人はそんな寝言は目の前の試験で高得点を取ってから言いましょう。目の前の試験と全力で向き合えない者に未来はありません。

 

言い忘れましたがどの参考書やどの予備校サービスを使うのがいいかリサーチするってのも大事な勉強の要素です。ネットで、先輩の口コミで、できる友人から、手段を選ばず徹底的にリサーチをしましょう。そしてその判断基準はその教材が過去問のレベルに対して必要十分であるかどうか。情報の優先度の階層化は教材選択に左右されると言っても過言ではありません。

 

学校の定期試験を想定してこの記事を読んでいる方々は先生の授業中の発言を注意深く聞いてこの優先度の階層化を注意深く行いましょう。試験に出る所を狙い撃ちできれば高得点は簡単にあなたのものです。

 

③知識や思考回路を横で紐付けてネットワークを作る

 できる友人と一緒に勉強していて、僕が1番差を感じたのはこのポイントです。彼らは知識が横で紐付いています。記憶するときの切り口が複数あるので、問われた時に芋づる式で知識を脳内から引き出す能力に長けています。

 

抽象的な話になってしまって恐縮なのですが、例えばリンゴというモノの性質を覚えなければならない状況に置かれた時、凡人はリンゴという脳の道具箱の中に、「赤い、果物、青森県、アップルパイ…」のように知識を詰め込みます。このような道具箱を脳の中にたくさん作らなければならないのが試験勉強だと想像してください。勉強ができる彼らは道具箱同士の知識を複数の切り口で横に紐づけます。例えば「赤い」というキーワードで「リンゴ、トマト、いちご…」と道具箱同士が紐づけされて、芋づる式にその周辺知識を引っ張ってこれるようになっています。このネットワークが無数に張り巡らせているイメージです。

 

このネットワークを作るのはどうすればいいかというと、それは分野を横断して共通点をもったものをうまい切り口で結びつけるということです。ちょっと抽象的すぎるのでこれで伝わらなかった人はこの項目は無視してもらって構わないです。

 

④短期記憶は視覚と語呂で脳にぶちこむ

試験前は正攻法以外にもドーピング的な覚え方もガンガンに使っていきましょう。なりふりかまっている場合ではありません。

 

短期記憶において視覚的情報の占める重要性は大きいと考えます。誰もが試験中に一度は体験したことがあると思いますが「あぁノートのあの辺に書いてあったなあ、なんだっけ。」ってやつです。今まで出会った短期記憶が強い奴らは総じてこの能力に長けています。この時のポイントはなるべく大きめの紙を使うこと。A4見開きのノートとかiPad Proとかそういったでかいサイズ感で、ぱっと見た時に脳に飛び込んでくる情報量がなるべく大きくなるようにしましょう。

 

語呂合わせに関して。最初は僕も「語呂とかかっこ悪いし、論理的に暗記しましょうってのと対極だからこんなのに頼りたくない」とかイキって思ってました。しかし残念なことに厳しい試験中、最後ににあなたを救うのはしょうもない下品な語呂です。

 

⑤強制recall装置を作り上げる

 御託をたくさん述べてきましたがつまるところ記憶は接触回数です。みんな大好きエビングハウス忘却曲線は理に適っていて、忘却と記憶の階段を接触回数を上げることで一歩ずつ上がっていくしかありません。

 

一番実用的な話をここでしようと思います。復習の大事さ、思い出し=recallの大切さは散々述べてきましたが、実際どうやるのが一番効率がいいのかってのは難しい問題です。

 

例を出しましょう。みんな大好き暗記赤シート&緑ペンみたいなものは強制recall装置の代表例です。あの勉強法が定着するのはノートの内容を消して強制的にrecallする機会を作っているからです。他に例を出すならいわゆるflash card形式。表に問題やキーフレーズを書き、裏に答えや連想しなければならない思考回路を書く。これも捲ることでrecallの機会を作っています。

 

そしてこれら2つの方法が非常に有効なのは高速で周回可能だからです。ノートを覚えてそれを1から思い出しながら書くみたいな勉強は時間がかかるのでオススメしません。書き出すという行為は勉強の中でも最も時間のかかる行為の1つなので、自分がどうしても覚えられない超重要事項をまとめて覚える時の究極の奥の手という認識を持ちましょう。

 

強制recall装置を作る時のポイントはrecall装置を作るためにかかる時間と、定着させることのできる情報の2つの関係性がreasonableであるかどうか常に考えること。強制recall装置を作ることに労力がかかりすぎて、作ったことに満足する人は残念ながらこの世にたくさん存在します。

 

1つ僕が実際に使ってたwebサービスを紹介します。Ankiというonline flash cardです。詳細はURLを貼っておくので興味のある人は見てください。

Anki - powerful, intelligent flashcards

国試前には5000枚くらいカードを作って最後は1500枚くらい捲っていました。これで論理的には10日で国家試験の範囲全てを1周回せる計算になります。アメリカの医学生では一昔前からこれの類似サービスが流行しています。このサービスの強みはcopy&pasteができるのと、書く時間より圧倒的にタイピングの方が速いので強制recall装置を作る時間が短縮できること。他にはEvernoteに自分が覚えたい事項をまとめてスキマ時間やどこでもアクセスすることも有効でしょう。記憶するべき事項への接触ハードルをなるべく下げることと、自分に客観的なノルマを課して復習を強制化することが記憶には大事だと僕は考えます。

 

ここまで書いてきたことを要約すると①脳の中に道具箱を作って②優先度を階層化して③知識を横で結びつけてネットワークを作り④視覚や語呂でチートしながら⑤なんらかの形で高速周回する。これであなたが試験の場において他の受験者に暗記で負けることはないでしょう。

 

Part4.本番で力を発揮するにはどうすれば

 

さあここまでくれば準備は万端です。あとは本番で普段どおりの力を発揮するだけです。

でもどうでしょう。人生の分岐点となる大事な試験。降りかかる意味がわからないくらいのプレッシャー。普段は解けていたはずの問題が解けない。覚えていた筈の知識が思い出せない。焦りが焦りを生んで頭が真っ白になり、気づいたら時計の針だけが進んでいく。

 

世間には2種類の人間がいます。それは本番に強い人間と弱い人間です。どうやったら人生のかかった大事な場面で、自分の持てる力を全て発揮できるのでしょうか。論理は単純です。練習を本番に寄せて、本番を練習に寄せましょう。そして自己暗示をかけて精神を意志で支配しましょう。
 
普段の勉強でoutput=問題演習をしている時、あなたは本番を想定できているでしょうか。自分に本番と同様の精神的負荷をかけられているでしょうか。「1問あたり解くのに何分かかって、見直しは何分間でして、正答率はどれくらいなのか。」それを把握しながらoutputできているでしょうか。もしそれができていないのなら、それはあなたの怠慢です。あなたは本番に弱いのではなく、ただ準備が甘いだけです。
 
例えば数学の問題を解く時、ストップウォッチでラップをとって1問に何分かかるのか把握しながら解き進めてみましょう。問題を解くのに詰まった時、自分がどの程度の時間を消費してしまうのか、どこで見切りをつけて次の問題に行くべきなのか、練習から体に時間の間隔を染み込ませましょう。あるいは新規演習をする時、自分の正解率に常にフィードバックをかけながら解きましょう。そうすれば自ずと自分の問題点は見えてきます。

 

馬鹿馬鹿しいと感じるかと思いますがそれくらい徹底的にやりましょう。練習の時のメンタルを限りなく近く本番に寄せていきましょう。こなす練習に意味はありません。outputの時は「1点でも多く拾う」という本番と同じ気持ちを常に持ちましょう。
 
いかに完璧な準備をしたとしても、本番の雰囲気に飲まれてしまう人もいるでしょう。本番の雰囲気に打ち勝つ術はルーティンを決めることです。試験直前の時間の使い方をルーティンに乗せることで、試験場の雰囲気を強制的に自分の成功するペースに持ち込みましょう。

前日のベッドに入る時間、当日朝食べるもの、使う筆記用具、試験1分前にする動作、問題を解く時の挙動、全てをルーティン化しましょう。バッターボックスに入りピッチャーに向けてバットを垂直に立てるイチローのように神経を研ぎ澄まして、成功する勝ちパターンに目の前の試験を引きずり込みましょう。

 

試験前、誰もが不安になります。その試験が自分の人生にとって大きなものであればあるほど、不安は増幅するでしょう。眠れなくなったり、食べ物が喉を通らなくなったりするかもしれません。でもこの「落ちたらどうしよう。」という不安を感じることは正常です。試験前の不安は自分だけが感じるものではありません。みんな強がって取り繕いますが、受験者全員が抱えているものです。この認識はとても大事です。不安は消すのではなくうまく付き合いましょう。

 

その上で、「自分は合格できる」という強い自己暗示をかけましょう。何度も何度も声に出して、念じて、合格した後の自分の姿を脳の中にイメージしましょう。心が折れそうになった時は、今まで自分を突き動かしてきた原点に戻りましょう。そして支えてくれる両親や周囲の人に助けを求めましょう。

努力は時にあたなを裏切るかもしれません。しかし、「正しい方法で正しい量だけなされた勉強」というものが試験においてあなたを裏切ることは決してありません。運命なんてものは意志の力で捻じ曲げてやりましょう。

 

Part5.終わりに


気づけば文字数は1万字を超え、ここまでたくさんの偉そうなことを書いてきました。今まで書いてきたことは、僕が出会ったたくさんの「できる人たち」の要素をまとめたにすぎません。全ての方々に感謝しています。

 

この記事が誰かの人生を少しでも良い方向に変えることを祈っております。またどこかでお会いしましょう。

 

おめが